解説

Godspeed You! Black Emperorの最新作『No Title As Of 13 February 2024 28,340 Dead』は、パレスチナにおける悲劇的な戦争の影響を強烈に反映した作品だ。このアルバムは、現在進行中のガザ地区での戦争をテーマにし、恐怖と感情を音楽的に伝える。アルバム名からも明白に示されるように、作品全体が戦争の惨状を鋭く浮き彫りにし、政治的メッセージと音楽が密接に絡み合っている。

『No Title As Of 13 February 2024 28,340 Dead』は、戦争によって命を失った多くの命、特に「小さな身体」を象徴する深いメッセージが込められており、その情緒的で迫力ある演奏は、聴く者に音楽を通じて強力な政治的・感情的メッセージを届けることに成功している。ギターやオーケストラの駆使された演奏の中で、このメッセージは一貫して強い影響を放つ。

楽曲ごとに壮大で壮絶な展開を見せ、特に「Broken Spires At Dead Kapital」や「Pale Spectator Takes Photographs」では、戦後の荒廃が視覚的に表現され、リスナーは絶望感に引き込まれる。悲鳴にも似たギターや不協和音が、この冷徹な世界を効果的に示唆している。

「Grey Rubble – Green Shoots」では、希望の暗示が示され、リスナーに前向きな感情をわずかに与える瞬間もある。曲の終息に向かう中で、絶望の中に一筋の光が差し込むような感覚を呼び起こす。このアルバムは、商業的成功とは無縁であり、政治的意図が色濃く反映されている。

全体として、このアルバムは政治的意図に満ち、商業的な成功を全く意図していない。感動的でありながら陰鬱な印象を与え、完全にアートとして存在している。反戦や抗議の意味を音楽で主張し、戦争の恐ろしさとその人道的な側面に強いメッセージを投げかける。この作品の価値は、その音楽的技術を超え、リスナーに深い印象を残し、確かなものとなっている。

トラックリスト

1　SUN IS A HOLE SUN IS VAPORS
2　BABYS IN A THUNDERCLOUD
3　RAINDROPS CAST IN LEAD
4　BROKEN SPIRES AT DEAD KAPITAL
5　PALE SPECTATOR TAKES PHOTOGRAPHS
6　GREY RUBBLE – GREEN SHOOTS