
解説
Godspeed You! Black Emperorのアルバム『Yanqui U.X.O.』は、バンドの音楽的および社会的意図、進化、評価の多様性を浮き彫りにする作品である。このアルバムは、それまでのバンドのスタイルを踏襲しながらも、新たな方向性を示している。
音楽的に、『Yanqui U.X.O.』は壮大で感情的なサウンドスケープを提供する。アルバムの特徴は、悲痛なメロディ、静寂からドラマチックなクライマックスへ至る構成、そして緻密なアレンジメントにある。冒頭の「9-15-00」は、現代の政治的文脈を反映しつつ、静かな悲劇の高まりを描き出す。一方、「If Rockets Fall on Rocket Falls」では20分を超える演奏が圧倒的なスケール感を放つ。そして締めくくりの「Motherfucker = Redeemer」は、力強いリズムと美しい音色が融合した圧巻の仕上がりだ。
批評家の中には、この作品が『Lift Yr Skinny Fists Like Antennas to Heaven』や『Slow Riot for New Zero Kanada』と比較して新しさに欠けるという意見もある。このアルバムでは、それまでバンドの象徴的要素だった録音されたナレーションや間奏が排除され、シンプルかつストレートな表現が採用されている。この変化に対し、「音楽の幅が狭まった」と批評する声がある一方で、「感情的な迫力が増している」と評価する意見も多い。
アルバムには強い政治的メッセージが込められている。タイトルの『Yanqui U.X.O.』は「未爆発弾」を意味し、ジャケットには軍需産業と大手レコード会社の関係を暗示する図表が描かれている。バンドの反資本主義的立場は、音楽だけでなくアルバム全体を通じて表現されており、統一感のある作品としてリスナーに力強いメッセージを発している。
Godspeed You! Black Emperorのスタイルは「ポストロック」というジャンルを超越している。冷淡で学術的になりがちな従来のポストロックに対し、彼らの音楽は深い情熱と人間味に溢れている。一方で、このアルバムには過去作に見られたナレーションや珍しい楽器の試みが欠けており、全体的に均一との指摘もある。
『Yanqui U.X.O.』は、リスナーに強烈な感動を与える作品である。その政治的メッセージ、音楽的成熟、リスナーへの挑戦としての性質は、Godspeed You! Black Emperorの音楽性の進化と不変の情熱を示す証であり続けている。
トラックリスト
1 09-15-00
2 09-15-00 (cont.)
3 Rockets fall on Rocket Falls
4 motherfucker=redeemer
5 motherfucker=redeemer (cont.)

