
解説
2024年6月にリリースされたCharli XCXの6作目のアルバムは、彼女のキャリアにおける重要な転換点を象徴する作品である。このアルバムにはPCミュージックからの影響が色濃く表れており、特に『Pop 2』に最も近い作品として評価されている。
プロモーションとして、シングル「Von Dutch」や「Club Classics」を発表。リリース前からSNSを活用し、制作過程を積極的に共有することで注目を集めた。その結果、アルバムはBillboard 200で最高3位を記録し、Charliにとって最も商業的に成功した作品となった。
評価の面でも、高評価を得るに至る。「Vroom Vroom」で示した実験的アプローチが本作では成熟し、新たな形で結実した点が特に注目される。音楽スタイルは、過去と未来のポップスをつなぐ独自のヴィジョンを提示。内面的なテーマが際立ち、キャリア、不安、自己反省といった要素が歌詞に表現されている。
制作にはA.G.クックやジョージ・ダニエルが参加し、PCミュージック系サウンドの洗練がさらに進化した。代表的なトラックとして、自己の強さをアピールする「Von Dutch」や、自己比較の葛藤を表現した「Sympathy is a knife」が挙げられる。また、「So I」は故SOPHIEへのオマージュとして制作され、多くの批評家から絶賛を受けた。
リードシングル「360」は、キャッチーでエネルギッシュなダンスナンバーとしてファンを魅了。アルバム全体のトーンは多面的で、遊び心あふれる楽曲から深い感情に触れる楽曲までが揃っている。クラブカルチャーにインスパイアされたトラックが全体を支えつつ、単なるパーティーレコードには収まらない深みがある。
「I Think About It All the Time」では母性とキャリアの対比を描き、「Everything Is Romantic」では多ジャンルを巧みに融合。サウンドの多様性も際立つ。メインストリームポップとアンダーグラウンドの両方の要素を取り入れたチャート戦略が功を奏し、幅広いリスナー層を惹きつけた。デラックスエディションではリミックスが追加され、さらに充実した内容となっている。
アルバムは、パーティー好きの層だけでなく、繊細で感情豊かな人々にも訴求。Charliのキャリアの集大成であり、ポップミュージックの未来像を示す重要な作品として位置づけられる。
トラックリスト
1 3602:13 88
2 Club classics
3 Sympathy is a knife
4 I might say something stupid
5 Talk talk
6 Von dutch
7 Everything is romantic
8 Rewind
9 So I
10 Girl, so confusing
11 Apple
12 B2b
13 Mean girls
14 I think about it all the time
15 365

