大規模なツアーを終えてレコーディング重視に舵を切ったビートルズは、架空のバンドという設定で独創的なアルバムを作ることを試みた。サイケデリックを取り入れて、これまでのロックやポップといった枠を超えた革命的なアルバムになった。
収録曲一覧
1:Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band
2:With a Little Help from My Friends
3:Lucy in the Sky with Diamonds
4:Getting Better
5:Fixing a Hole
6:She’s Leaving Home
7:Being for the Benefit of Mr. Kite!
8:Within You Without You
9:When I’m Sixty-Four
10:Lovely Rita
11:Good Morning Good Morning
12:Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
13:A Day in the Life
Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band
ビートルズ扮するバンドの紹介から始まる。既に人気のあるバンドがペルソナを被ってコンセプトアルバムを作成する発想はポール・マッカートニーによるものである。
With a Little Help from My Friends
ビリー・シアーズという人物に扮したリンゴ・スターがメンバーに演奏についての不安を告げる。中にはマリファナを思わせる台詞もある。
Oh, I get by with a little help from my friends
Mm, I get high with a little help from my friends
Written by Lennon-McCartney, John Lennon & Paul McCartney
訳:ああ、僕は友達の助けで何とかやっている
僕は友達の助けを借りてハイになっている
Lucy in the Sky with Diamonds
ジョン・レノンの息子ジュリアンの描いた絵から生まれたメルヘンチックな一曲。マッカートニーは否定しているが、多くのファンに歌詞の内容及びコーラスの頭文字からLSDについての曲であると考えられている。
Lucy in the sky with diamonds
Written by Lennon-McCartney & John Lennon
訳:ルーシーはダイアモンドの空に
Getting Better
楽観的な曲長であり、ポジティブなメッセージを持つ一曲。
Fixing a Hole
バロック風のポップ。初めは少し迷いを見せ、徐々に曲調が明るくなってゆく。
She’s Leaving Home
マッカートニーが読んだ家出少女の記事をもとにした曲。弦楽器の美しい響きが印象的である。
Being for the Benefit of Mr. Kite!
ミスター・カイトの曲芸を題材にした。オルガンやシンバル、ハーモニカから奇術のような雰囲気を作り出した。
Within You Without You
ジョージ・ハリスンが作ったインド音楽の影響を強く受けている一曲。シタール等のインド楽器を使用しており、歌詞もインド哲学のアイデアを取り入れている。
When I’m Sixty-Four
マッカートニーが16歳の頃に作った歌。曲が発表された当時の彼の父が64歳であったため、関連があると推測されている。
Lovely Rita
コミカルな一曲。曲中で度々「meter maid」という語が繰り返されるが、イギリスにおいてこの呼称は一般的ではない。マッカートニーは新聞で見たこの言葉について、アメリカ的でセクシーな響きだったと語っている。
Good Morning Good Morning
コーンフレークの広告から着想を得た曲。曲の終わりごろのドイツ語のおはようを表す台詞「Guten Morgen」は見落とされがち。
Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
バンドが客に終幕を伝える。最初の曲よりテンポが速くなっている。
A Day in the Life
歌詞は複数のニュースを組み合わせたミニマルな世界観だが、曲の実験性と重厚な構成によってロック史に前例のない高級な雰囲気を醸し出している。40人のオーケストラを雇い、ロックバンドの枠を超えて壮大な風景を作り出した。ゆったりとしたオープニングから徐々に盛り上がる様は圧巻であり、最後の和音で強い余韻を残す。曲の終了後しばらく待つと、隠された台詞が流れる。

