優れたスキルによってニューヨークのストリートを鮮明に映し出すヒップホップの金字塔。DJプレミア、L.E.S、ピート・ロック、ラージ・プロフェッサー、Qティップなど多くの名プロデューサーが手掛けた。スカーフェイス、モエ、ブッダ、ハイネケンと様々なモチーフをまとめてクイーンズの空間を細かく描写した。
収録曲一覧
1:The Genesis
2:N.Y.State of Mind
3:Life’s a Birch (feat.AZ & Olu Dara)
4:The World Is Yours
5:Halftime
6:Memory Lane (Sittin’ in da Park)
7:One Love
8:One Time 4 Your Mind
9:Represent
10:It Ain’t Hard to Tell
The Genesis
電車の音に始まり、映画『ワイルドスタイル』から台詞を引用しつつ、幕を開ける。
N.Y.State of Mind
都会の暴力犯罪にまつわる複雑なリリックを披露する。『スカーフェイス』から引用しつつ、ラッパーとしての実力を犯罪にあふれるストリートでの生活と交えて事細やかに語り、ニューヨークの精神を体現している。
I think of crime when I’m in a New York State of Mind
Written by Nas & DJ Premier
訳:ニューヨークの精神状態にある時、俺は犯罪について考える
Life’s a Birch (feat.AZ & Olu Dara)
人生を視覚化し、豊かに生きる者と貧しく生きる者、そこから生まれる犯罪と両者に共通する死を表現する。諸行無常を示しながら、破壊的に人生を楽しむ魅力を提示する。
Life’s a bitch and then you die, that’s why we get high
‘Cause you never know when you’re gonna go
Written by Nas, AZ, L.E.S., Ronnie Wilson, Olu Dara & Oliver Scott
訳:人生はクソだ、そして死ぬんだ、だから俺たちはハイになるんだ
なぜならいつ死ぬかわからないからだ
The World Is Yours
アーマッド・ジャマルの『I Love Music』、T・ラ・ロックの『It’s Yours』をサンプリング。スカーフェイスの名句からインスパイアされた本曲は、リリックのライティングを巧みな表現で語る。最後はクイーンズを超えてニューヨーク中にエールを送る。
Whose world is this?
The world is yours, the world is yours
It’s mine, it’s mine, it’s mine—whose world is this?
Written by Nas & Pete Rock
訳:この世界は誰のものなんだ?
お前のものだ、お前のものだ
俺のものだ、俺のものだ、俺のものだーこの世界は誰のものなんだ?
Halftime
ベースやタンバリン、トランペットなどサンプリングされたサウンドが心地良い一曲。レコードで鑑賞している場合、この曲でA面が終了するため、文字通りハーフタイムに当たる曲である。
Memory Lane (Sittin’ in da Park)
ルーベン・ウィルソンの『We’re In Love』をサンプリング。ナズがまだ10代の頃に見た世界とクイーンズについて歌っている。
One Love
収監された仲間に宛てたメッセージとして語られる。刑務所を題材に犯罪行為や社会システムの人種的不平等さに言及している。
One Time 4 Your Mind
クイーンズでのライフスタイルをロケーションやアイテムを引き合いに出して語る。
Represent
アルバムの中で最初に作られた曲である。ニューヨークで多くのラッパーが落ちぶれないよう自らを鼓舞するために使った言葉、それが『Represent』である。
It Ain’t Hard to Tell
マイケル・ジャクソンの『Human Nature』をサンプリングした。リリックのセンスは研ぎ澄まされ、ナズのラップの強烈さが印象付けられる。
My poetry’s deep, I never fell
Nas’ raps should be locked in a cell; it ain’t hard to tell
Written by Nas & Large Professor
訳:俺の詩は深く、決して落ちない
ナズのラップを独房に閉じ込めなければならない、それは難しいことではない

