レディオヘッドの3枚目のアルバムであり、ロック史上最高の名盤として名高い。新たなサウンドを開拓し、ブリットポップによって拡大され続けていたロックの世界観をさらに深くした。アルバムを通して不吉な雰囲気が漂い、聴いた者に強力な余韻を残す。メランコリックで近未来を思わせるシンセサイザーのみならず、ボーカル、ギター、ベース、ドラム、どれをとっても一級品であり実験性にあふれた革命的な作品。
- 収録曲一覧
- Airbag
- Paranoid Android
- Subterranean Homesick Alien
- Exit Music (For A Film)
- Let Down
- Karma Police
- Fitter Happier
- Electioneering
- Climbing Up the Walls
- No Surprises
- Lucky
- The Tourist
収録曲一覧
1:Airbag
2:Paranoid Android
3:Subterranean Homesick Alien
4:Exit Music (For A Film)
5:Let Down
6:Karma Police
7:Fitter Happier
8:Electioneering
9:Climbing Up the Walls
10:No Surprises
11:Lucky
12:The Tourist
Airbag
トム・ヨークの実体験である交通事故からの生還をテーマにした楽曲
In an interstellar burst
惑星間の爆発の中で
I’m back to save the universe
僕は宇宙を救うために戻ってきた
Ed O’Brien, Colin Greenwood, Jonny Greenwood, Thom Yorke & Philip Selway
Paranoid Android
二曲目にしてこの壮大なアルバムのハイライトであり、模倣のしようがない唯一無二の作品である。しばしばQueenの『Bohemian Rhapsody』と対比される複雑な構成は、躁鬱のように不安、怒り、憂鬱と様々な感情を続けざまに露わにする。タイトルを含め、銀河ヒッチハイクガイドからの引用が多く使われる他、ブリッジの歌詞はヨークがコカインでハイになった人々に囲まれたロサンゼルスのバーでの不快な経験が元になっている。誰かが飲み物を溢した時に暴力を振るった女性は、歌詞にインスピレーションを与えた。
Ambition makes you look pretty ugly
野望は人を酷く醜くさせる
Kicking, squealing, Gucci little piggy
蹴って、キーキー鳴く、グッチを着た子豚だ
Nigel Godrich, Radiohead, Thom Yorke, Colin Greenwood, Jonny Greenwood, Philip Selway & Ed O’Brien
Subterranean Homesick Alien
前二曲の激しいギターと打って変わって、憂鬱で不気味なサウンドを中心に進行してゆく。町と人々に馴染めない語り手は宇宙人に連れ去られることに希望を見出す。
Exit Music (For A Film)
バズ・ラーマン監督の映画『ロミオ+ジュリエット』のエンディング曲として採用された。駆け落ちを題材にした曲であり、作品の結末とは異なり、不安なムードを保ちながら徐々に感情的に盛り上がっていく。
Let Down
アルバムの中でも根強い人気を持つ、アルペジオギターとエレクトリックピアノが印象的な一曲。美しい響きを持ちながら、グロテスクなイメージのある虫をモチーフにして悲観的に退屈を語る。
One day I am gonna grow wings
ある日僕は翼を生やす
A chemical reaction
化学反応だ
Hysterical and useless
ヒステリックで役に立たない
Ed O’Brien, Colin Greenwood, Jonny Greenwood, Thom Yorke & Philip Selway
Karma Police
皮肉の効いた歌詞がミステリアスな世界観を見せる。癖のあるレディオヘッド作品の中でも馴染みやすく、また味わい深い。ピアノのメロディーラインからはBeatlesの『Sexy Sadie』からの影響を窺わせる。
Karma police, I’ve given all I can
カルマポリス、僕は全力を尽くした
It’s not enough, I’ve given all I can
まだ足りない、やれることは全部やった
But we’re still on the payroll
でも僕らはまだ給料をもらっている
Ed O’Brien, Colin Greenwood, Jonny Greenwood, Thom Yorke & Philip Selway
Fitter Happier
アルバムの中間にして、コンピューターの無機質さを強調するかのように詩が語られる。固定されたテーマは存在せず、ポジティブとネガティブの要素を持つ単語が無作為に混ざり合う異質な存在である。
Electioneering
スピード感のある攻撃的なロック音楽であり、懐疑的な公約実行と当時新興国に大きな打撃を与えた新自由主義政策を批判するストレートな政治的メッセージを持つ。
Climbing Up the Walls
パラノイアを扱っており、サウンドは強力に歪んでいる。暴力的で加害性を明確に示す、恐ろしさを象徴する曲である。
No Surprises
子守歌のような、透明感のある美しい曲である。前曲の恐ろしさも相まってチャイム音が優しく響く。歌詞は幻想的であるとともに、社会の有毒性を訴えつつ、自死を暗示している。
I’ll take a quiet life
僕は静かな人生を歩むだろう
A handshake of carbon monoxide
一酸化炭素と握手する
Ed O’Brien, Colin Greenwood, Jonny Greenwood, Thom Yorke & Philip Selway
Lucky
再び陰鬱さを増した楽曲は、天国から引きずり降ろされるような重力を持つ。運と飛行機の墜落を主題に政治的なメッセージを絡めている。
The Tourist
最後を飾るこの曲は、スケジュールの詰まった観光客、つまり地球の観光者に対し人生をゆっくりと生きることを勧めている。ギターは陰気さを抱えたままゆっくりと過熱していき、トライアングルの音によって幕を閉じる。

